日銀の金融政策の話題も、マイナス金利を別にすれば、ここ数年、ネタが希薄になってきた感がある。だからということではないが、ここでは閑話休題、日銀の役員人事の基礎知識を整理しておきたい。将来の金融政策を担う人事体制・布陣を予想してみた。
日銀の金融政策の限界から有効なマクロ政策として財政赤字拡大を容認する主張が広がっている。赤字国債の発行残高は増加を続け、PBの黒字化の展望も見えない。厳しい財政状態にも拘わらず、財政赤字拡大を容認する論調の底流に、「今後とも利子率(国債金利)が名目GDPの伸び率を必ず下回る」との前提がある。この条件を満たすなら財政の破たんにつながらず、経済成長を財政政策によって促進できるという考え方である。最近、日経新聞のコラム「経済教室」で評判となった「財政赤字拡大容認論を問う」という3本の論文が掲載された。この論文の共通の論点であった利子率と名目GDP伸び率の関係から、容認論の現実性について考えてみたい。 (PB=基礎的財政収支。新規国債発行額を除いた歳入総額と、国債費(国債の償還・利払い費用)を除いた歳出総額との収支)
日銀は6月20日、共通担保の対象範囲を拡大し、適格性を緩和する措置を決定した。これは日銀と民間金融機関との取引の際に求める担保の対象を拡大するもので、金融緩和の裏付けとなる。4月の金融政策決定会合で基本方針が公表されていたが、その実施細目にあたる。あらためて、なぜ共通担保の適格対象を拡大したのか、また、とりわけ貸出増加支援資金との関係について考えてみたい。
日本銀は10月31日の金融政策決定会合において、金融政策を現状維持すると決定した。事前に想定されていた内容だが、黒田総裁記者会見と同時に公表された展望レポートについての違和感と注目点をメモしておきたい。長期金利の変動バンドの真実の幅は何か、中国経済の見通しは、甘いのか厳しいのか。
日銀は7月31日の政策決定会合で、これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」(イールドカーブコントロール政策)を手直しし、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」策を決定した。①10年物国債金利(10年)の目標水準を柔軟化し、現行の±0.1%程度からその2...
4月末の日銀の正副総裁が決まったあとの最初の金融政策決定会合も新任の若田部昌澄副総裁からとくに非執行部的な不規則発言もなく、これまでの路線を踏襲するということが確認された。黒田総裁の2期目はスムースにスタートしたという印象を残した。ただし、黒田総裁が続投して初めての本格的な講演であった「きさらぎ会」(5月10日)での講演では、違和感が残った。
黒田日銀総裁が4月9日、総裁再任されたあと、最初の公的な場(信託大会・東京経団連会館)での挨拶を聞いた。決定会合をあとに控えていることから、内容にとくに新味はなく、従来の考え方を淡々として述べたという印象が強い。ただ、少し気になったのは、声の調子だった。
黒田日銀総裁の続投の露骨なリークをどう見るか。官邸の株式市場への警戒が早期続投リークにつながったのだろう。世界的な株価調整への手段が枯渇していることへの表れではないか。
日銀の岩田規久男副総裁が1月31日の大分県での講演のあとの記者会見で「コミュニケーションは本当はもっと深くしなくてはいけません。投資家がヘッドラインだけで見て判断するというコミュニケーションでは困ってしまいますので、何をどうするかは日銀も随分考えてはいますが、こうした真意を伝えることの難しさを、この 5...
なぜ、日銀の金融政策は消費者物価(CPI)目標を2%としたのか。2013年4月の量的質的緩和(QQE)の導入 以降、その理由説明は、微妙に変化している。とくに2017年9月の黒田総裁の大阪における講演は、禁句とも いうべき「為替」について言及している。総裁の油断なのか、あるいは分かりやすさのためか、一線を超え た感がある。