なぜ、日銀の金融政策は消費者物価(CPI)目標を2%としたのか。2013年4月の量的質的緩和(QQE)の導入 以降、その理由説明は、微妙に変化している。とくに2017年9月の黒田総裁の大阪における講演は、禁句とも いうべき「為替」について言及している。総裁の油断なのか、あるいは分かりやすさのためか、一線を超え た感がある。
2018年1月年初から預金へのマイナンバー(個人番号)の付番が始まる。付番は「当面、義務化されていない」任意の扱いなので、銀行窓口でマイナンバーを求められても税法を含めた関係法(国民年金法・国税通則法・預金保険法等)違反にはならないものの、実際には新規口座開設の場合はマイナンバーの提出がほぼ義務付けられるのではないかとみられている。既存口座についても政府は預金者への連絡を要請しており、預金の満期日が到来したときなど、銀行との接触があるときは、銀行は預金者にマイナンバーの提出を求めることとなる。マイナンバーの付番状況が芳しくないときは、政府は「3年後に付番促進の法律改正を行う」とされている。果たして順調に付番は進むのだろうか。
金融庁は平成29年事務年度の金融行政方針を11月10日に公表した。森長官の3年目の施政方針であり、森金融行政の最後の詰め、最終的な姿を示すものとして注目されている。内容についての解説はどこかで当局者が行うものと思われるので、読後感想をランダムに書いてみたい。
円・ドル相場を占う指標として名を馳せたソロスチャートにまったく話題にならなくなっている。ソロスチャートに席巻された市場に催促されるように登場した日銀の異次元緩和は市場の勘違いのメンタルと軛をひとつ潰したという点でその役割を果たした終えたと言っていいだろう。異次元緩和の初期段階では日銀幹部からのソロスチャートへの言及が多かったが、いまやまったく口にすることはなくなった。
日銀の国債買取額が漸減している。これはイールドカーブコントロール政策の成功の証と言えるだろう。残るはゼロ金利を支持している期間をどうスライドしていくか、そして3年を切って短期化し、1年に近づいたときにどういう政策の姿とするか。物価上昇率は1%を超えてくるのは見えているため、いまの残存10年をゼロ金利とするのは無理がある。どうしても長期金利政策目標を短期化せざるをえないだろう。そして、マイナスの短期金利もゼロへと浮上したときに、今次の黒田緩和は終わりを迎える。しかし、そのあとの長期金利体系はどうなるのか、日銀の財務についてどう考えるのか。
森長官が地銀・第2地銀の2017年度決算について、「有価証券運用益を除くコア業務純益、つまり本業の利益が大幅に減少しており、半分の銀行の利益がマイナスになっている」と銀行の収益の低さに警鐘を鳴らしています。ゼロ金利、あるいはマイナス金利という環境下では当然、想定された事態ですが、銀行は収益確保のためにより一層、経費の抑制に動いています。
IMFは7月31日、日本経済の「年次審査報告」と5年ぶりの「金融システム安定性評価」を公表しました。日本のメディアはほとんどこの内容を取り上げていませんが、今後の金融政策や金融行政の方向性を占う意味で重要なコメントが含まれています。日本の事情もよく知らない国際機関に過ぎないIMFの評価と侮ってはいけないとおもいます。報告書自身に日本政府の意図が反映されているからです。
森金融庁長官の続投で金融行政がどうなるかといったことはさておき、今年の定期人事異動のポイント、注目点を整理してみました。親元の財務省の人事は動いていますし、ほかの省庁でも大きな異動がありました。経産省は大幅な異動がありました。それと比べていかにも少ない感じです。渋滞人事でした。
日銀が昨年の春から金融機関から買い取った保有株式を売却しています。その売却益は2175億円に上りました。国庫納付金の半分です。
森友学園問題は金融の話題ではありません。政府の個人情報操作の一端を表した事件と眺めてみました。