カテゴリ:2018



金融機関経営 · 2018/12/31
日本郵政は12月19日、米保険会社アフラック・インコーポレーテッドの発行済み株式を2019年中に7%を取得すると公表した。4年後には持ち分が20%となる見込みで、事実上の筆頭株主となる。ブロック取引または市場価格で取得価格は、ブロック取引価格(アフラック保有の金庫株の放出)やアフラックの株価次第だが、総額で2500億円から3000億円程度の規模になる。ただし、公表された内容からは日本郵政にメリットが見えず、アフラック側だけにメリットがあるように見える。なぜ、日本郵政はアフラックの株式を購入するのか。
金融行政動向 · 2018/12/17
金融庁は、近く総合政策局に配置した地域金融機関の検査部隊50人程度を監督局に異動することを明らかにした。これにより監督局在職の検査官は109人から160人程度となる。これにより監督全体の定員は470人程度を上回り、これまで最大の組織であった総合政策局の定員を超え、最大の局となる。夏の人事異動からわずか4か月程度というこの時期に大幅な異動を行うのはなぜか。また、検査官以外でも事実上の組織変更となったのが、総括審議官。総括審議官は検査を抱えていたが、今後は官房機能に特化する見込み。これもなぜなのか。予算要求とこれだけ違うと来年度の予算に影響しないかと思われるほどだ。
金融行政動向 · 2018/12/06
金融庁がスルガ銀行の「かぼちゃの馬車」事件をきっかけに、メガバンクをはじめ全国の地方銀行、信金、信組、ネット銀行を対象に、詳細な「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」を実施している。年内に集計を終える予定だ。金融庁は実態把握によって問題が見つかれば、立ち入り検査を行うこととしている。アンケート調査の項目をみると、金融庁が投資用不動産向け融資を抑制しようとする意図がうかがわれる。金融庁は抑制意図を否定するが、読めば読むほど、金融機関側はあらたな融資は実施できないと感じるに違いない。
金融行政動向 · 2018/11/12
地銀の経営統合について総理が主催する「未来投資会議」で論戦が始まった。11月6日に開催された未来投資会議に「地銀等の経営統合などに対する独占禁止法の適用の在り方」の論点メモが事務局から提示され、今後の検討の大枠が示された。11月下旬から地域政策についての検討会で議論が始まり、来年の春までに未来投資会議としての方針が決まり、6月の政府の成長戦略に盛り込まれることになる。このメモのポイントを整理したい。
日銀 · 2018/11/07
日本銀は10月31日の金融政策決定会合において、金融政策を現状維持すると決定した。事前に想定されていた内容だが、黒田総裁記者会見と同時に公表された展望レポートについての違和感と注目点をメモしておきたい。長期金利の変動バンドの真実の幅は何か、中国経済の見通しは、甘いのか厳しいのか。
金融行政動向 · 2018/10/08
金融庁は10月5日、スルガ銀行に対して、新規の投資用不動産融資の半年間の停止命令とともに、経営者責任の追及、②コンプライアンス体制の確立、③反社会的勢力排除とマネロン対策の管理強化、④融資審査態勢の強化確立、⑤創業家・岡野氏のファミリー企業との取引の適切管理強化、⑥シェアハウス向け融資についての融資条件のリスケなど債務者への適切な対応を求める命令を発出した。行政処分の内容は極めて厳しいもので、スルガ銀行の経営存続にも影響しかねない内容となった。  処分には、シェアハウス関連融資問題に加え、③と⑤についての事実認定と処分が加わったことがポイント。銀行のさらなる信用力低下は避けられず、経営の縮小均衡は必至であり、場合によって胃は再編につながる可能性も出てきた。
金融機関経営 · 2018/10/02
郵政民営化委員会での通常貯金限度額撤廃の議論がまったく動いていない。6月に一定の方向を出そうとしていたものの、強硬な反対意見が続き、官邸側の調整も効かないまま、延長戦に突入。7月(持ち回り)、8月は委員会も開催されず、9月の委員会でも、日本郵政の決算説明に終始した。10月以降の開催スケジュールについては仮置きされたままで、撤廃論が議題になる雰囲気は全くない。長門社長の官邸詣でも7月まで目立ったが、そのあとはぷっつりと切れている。今年の春の限度額論議は、日本郵政の3年ごとの中期経営計画が公表される時期にあたっていたことから、熱を帯びた経緯があったが、このタイミングを外れた以上、政府としても動きようがなくなっている。加えて、野田聖子総務大臣が10月2日、内閣改造人事において総務大臣から降りたことも限度額論議沈静化の要因となるとみられている。
金融行政動向 · 2018/09/30
金融庁は9月26日、「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)」を公表した。これまでの「金融行政方針」と当該年度の実績を振り返った「金融レポート」を合体させ、過去(実績)と方針を並列し、読みやすい形式となった。金融界として関心が高いのは当然、前者の行政方針の部分。新しい行政方針が随所に盛り込まれているが、新機軸として、①金融デジタライゼーション戦略として金融行政方針を整理したこと、②高齢化社会におけるフィナンシャル・ジェントロジー(金融老年学)を踏まえた投資家保護の検討が挙げられる。  また、スルガ銀行のシェアハウス融資問題の反省から、とくに「投資用不動産向け融資」についてのモニタリング強化を括りだしたほか、FATF(マネーロンダリング対策・テロ資金対策について国際的な協調指導、協力推進などを行う政府間機関。国際規制に基づく加盟国への勧告なども担う)の対日審査を意識し、マネロン対策の強化にアクセントが置かれている。また、従前から金融庁が指摘してきた地域金融機関の本業の赤字が拡大していることと、持続可能なビジネスモデルの構築の促進もさらにトーンアップして書き込まれた。  ほかにも留意点、注目点は多々あるが、これらの詳細な解説は新聞解説とシンクタンクのレポートに譲るとし、以下の2点だけについてコメントしたい。
金融機関経営 · 2018/09/17
鳥取銀行が地元鳥取県日南町(鳥取県内陸部の豪雪地帯。人口4300人)の生山支店を撤退し、隣町の日野町・根雨支店と再編統合する方針を明らかにしたことを受け、日南町の町長が撤退への対抗策として、支店から町の預金5億円を引き出すというトラブルが起きた。今後、銀行と日南町は町民預金者の不便さの解消など善後策を引き続き協議するが、撤退は決定済み。支店の撤退について町議会は反対の決議も行っており、地方公共団体が当事者として徹底して反対姿勢を示したのは珍しい。
金融機関経営 · 2018/09/10
スルガ銀行がシェアハウス関連融資の問題について事実関係を調査するために設置した第三者委員会が9月7日、その調査報告書を公表した。企業風土の劣化、モラルダウン、規律順守の乱れはすでに新聞報道で報じられているレベルをはるかに上回る深刻な事態であることを明らかにした。内容の詳細は新聞、週刊誌に任せるとして、気付いた点について触れたい。

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